先日、読書猿さんの「独学大全」を読んで、コーチングで行う質問の分類に関してヒントを得られたので、整理しておきます。
この分類は、「独学大全」第二部7章の技法17「ラミのトポス(P224~P229)」を自問から他者が行うコーチングの質問に応用し、アレンジを加えて整理したものです。拡大質問を5W1H以外でさらに細分化すると、大体以下の表のように整理できるのではないかと思います。緑字でコーチングでの質問例を追加しました。
種 | 〇〇は何の一種か?・〇〇は何に属するか? |
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差異 | 〇〇は、他とどこが違うのか?・現状との違いは何か? |
部分 | 〇〇を構成する部分を列挙すると?・〇〇の要素を1つづつ挙げると? |
定義 | 〇〇とは何か?・何をもって〇〇か?・〇〇の必要条件は何か? |
意味 | 〇〇の意味は何か?・〇〇はどんな意味を持つか? |
相反 | 〇〇の反対は?・〇〇しない場合は?・〇〇にならない場合は? |
原因・由来 | 〇〇を生じさせる(た)ものは?・〇〇のきっかけは? |
結果・派生 | 〇〇から生じる(た)ものは?・〇〇するとどうなる?・他にあるのは何か? |
「差異」は元々「種差」ですが、適用範囲を拡げるため差異に変更し、「意味」は本来「語源」ですが、人に焦点を当てるコーチングの場合、語源=名前の由来になり、ほとんど使用しないので、語源から使用頻度の高い意味に入れ換えました。
コーチングのプロセスは、説明のため簡略化すると、具体(現状把握)→抽象(内心の明確化および一般化)→具体(行動の選択)のように、具体と抽象を行き来します。
具体的な内容を扱う質問は5W1Hで事足りますが、抽象的内容を扱う場合、「〇〇のxは何?/どう?」という形で、質問はより細分化します。上の表は、このxについて分類したものと言えます。独学大全に説明があるので下に引用します。
「一連の問い」には、「誰が/何が?」「誰を/何を?」「どこで?」「誰の/何の助けで?」「なぜ?」「どのようにして?」「いつ?」のように、時空間に定位できる具体的な出来事や情報を扱うのに向くものがある。これに対して抽象的な議題を扱うのに適しているのが、フランスの数学者ベルナール・ラミによる「ラミのトポス」である。
読書猿「独学大全」P227
したがって以上のように分類すると、コーチングで行う抽象的な拡大質問について、より理解が深まると考えています。
ただし、質問を分類して理解できたとしても、実践で使いこなせなくては意味がないので、この分類を頭に入れつつ実地での研鑽に励んで頂けたらと思います。
実際の質問例については、コーチング質問集をご活用ください。
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