人は生きる上で大切なものとして、誰もが価値観を持っています。そして、価値観に沿って生きることで、充実感や幸福感を得ることができます。
一般論として、成功は大きな収入や社会的地位を得ることと考えられがちですが、大抵は勘違いです。ほとんどの場合、価値観を満たすために収入や社会的地位が必要なのであり、これらは単なる手段でしかありません。
したがって、価値観を見つけて明確にすることは、何を学ぶか、どんな仕事をするかなど、人生を選択するための指標を明確にすることと同じ意味を持つと言えるでしょう。
この記事では、価値観を見つけて明確にし、方針を決める方法を紹介します。価値観については、書籍「コーチング・バイブル」の8章に詳しいのですが、実際のプロセスについて、これまでの経験も踏まえて整理しました。
1.価値観を見つけて、単語で表現する
まず、価値観を見つけるためのアプローチについて説明します。
下に紹介する4つアプローチで価値観を見つけて単語で表現します。この際、きれいな言葉にこだわることなく、本人にとってしっくり来る単語を見つけます。また、後で整理するので、重複などは気にせずにどんどん出していきます。
1-1.人生で大事にしていること
1番目は、価値観をストレートに見つける方法です。「人生で大事にしていること」についての質問から価値観を見つけます。自分と向き合ったことのある人はスムーズに出やすいですが、ここで出なくても気にすることはありません。
質問の例
- 人生で大事にしていることは何ですか?
- 生きる上で軸にしているのは何ですか?
- 人生でゆずれないものは何ですか?
価値観の例
- 自由
- バランス
- 好奇心
1-2.充実や幸せを感じる状況
2番目は状況から価値観を見つけるアプローチです。充実しているときや、幸せを感じる状況についてできるだけ具体的に思い出します。出てきた状況から、単語に変換します。
質問の例
- 充実しているときに何をしていますか?
- 幸せを感じるのはどんなときですか?
- 今までの人生で最高の瞬間はいつ、どこで、何をしていましたか?
価値観の例
- 飲み会に参加→場の共有・つながり
- ゲームをしているとき→工夫・成長・達成
1-3.絶対許せないこと
3番目は、価値観の裏側を見るアプローチです。絶対許せないほど強い怒りや失望は、価値観を侵害されている状況で起こります。したがって、許せないことに焦点を当てることで、その裏側にある価値観を見つけることができます。
質問の例
- 絶対許せないことは何ですか?
- 何に強い怒りを感じますか?
- どんなときに失望しますか?
価値観の例
- 列に横入りされる→秩序・協調
- 虐待→公平・平等・博愛
- 面倒なこと→効率
2.価値観を明確にして整理する
価値観を見つけても、大抵の場合は意味やイメージが曖昧なので明確にして、さらに整理します。
2-1.価値観の明確化
価値観を明確にしますが、ここでは「コーチング・バイブル」で示される、単語どうしをスラッシュ”/”でつなげる方法を紹介します。重複やフィットするかどうかは気にせず、思いつくまま言葉をつなげていきます。
また、出た価値観を眺めてみて出し切ってない感じがする場合は、新しく付け加えます。
質問の例
- どんなイメージですか?
- 他の言葉を加えるなら何ですか?
- 眺めてみて思いついたものや足りないものは?
明確化の例
- 自由/フリーダムガンダム/飛び回る/責任と覚悟
- バランス/両端を見る/論理と感情/距離感
- 好奇心/冒険/やりたがり/挑戦
- 場の共有/つながり/交流/面白いこと
- 工夫/クリエイティブ/成長/達成/向上心/考える
- 秩序/協調/尊重される
- 平等/博愛/支援
- 効率/最適化/取捨選択
2-2.価値観の整理
上で出した価値観を整理します。重複や不必要なもの、別の価値観に従属するものなどを吟味して整理します。また、違和感のあるものは、より適切な単語に置き換えます。
整理の例
- 自由/フリーダムガンダム/飛び回る/責任と覚悟
- バランス/両端を見る/グラデーション/選択
- 好奇心/挑戦/やりたがり
- つながり/協働/共有/交換
- 向上心/学習/修行
- クリエイティブ/工夫/最適化
- 尊重/平等/相互扶助
3.価値観に優先順位をつける
上で整理された価値観に優先順位を付けます。大体出た順になりますが、必要に応じて順位を変更して調整します。
優先順位の例
- 自由/フリーダムガンダム/飛び回る/責任と覚悟
- 好奇心/挑戦/やりたがり
- 向上心/学習/修行
- バランス/両端を見る/グラデーション/選択
- クリエイティブ/工夫/最適化
- つながり/協働/共有/交換
- 尊重/平等/相互扶助
以上で、価値観が優先順位を含めて明確になりました。メモを取るなどして、いつでも見られるようにしておきます。また、慣れないうちは、時間を掛けて少しづつ整理しても良いでしょう。
4.価値観ごとに充実度を見て方針を決める
価値観が明確になったら、充実度を見て方針を決めます。
4-1.価値観の充実度を見る
明確になった価値観ごとに充実度を見ることで、どれだけ価値観を大事にしているか、逆にないがしろになっているかを洗い出します。
具体的には10点満点で、現状と理想の点数を出して、どうなったら良いか、どうしたいかなどを見ていきます。
充実度の例
価値観ごとの充実度を、現状と理想について点数を出すと下の表のようになります。
価値観 | 現状 | 理想 |
---|---|---|
1.自由/フリーダムガンダム/飛び回る/責任と覚悟 | 8 | 9 |
2.好奇心/挑戦/やりたがり | 7 | 9 |
3.向上心/学習/修行 | 7 | 9 |
4.バランス/両端を見る/グラデーション/選択 | 8 | 8 |
5.クリエイティブ/工夫/最適化 | 5 | 8 |
6.つながり/協働/共有/交換 | 4 | 8 |
7.尊重/平等/相互扶助 | 4 | 8 |
4-2.今後の方針を決める
価値観ごとの充実度から、今後の指針を決めます。現状と理想のギャップなどから、充実度を上げるためにどうしたら良いかなどを決めていきます。また、指針が決まったら、具体的な行動に落とし込みます。
質問の例
- 気になるのはどの価値観ですか?
- どうなると充実しますか?
- 具体的にできることは何ですか?
方針の例
上の表から、下位の価値観(5~7番目)の充実度が軒並み低いことが可視化されたので、これらを充実させることを指針にしました。
具体的には、5.Webサイトの見直しやブログ記事の充実、SNSの活用、6.オンラインイベント(飲み会・交流会)の開催および参加、7.外注など助力を求める、などを行っていくことを決めました。
5.必要に応じてアップデート
価値観は必要に応じてアップデートします。アップデートが必要な理由は、出会い・別れ・病気・事故・災害など、重大な出来事によって価値観が大きく変わる可能性があるからです。例えば2011年の東日本大震災では、私もそうですが多くの人の価値観が変わったのではないかと思います。
大きな変化がない場合でも、価値観が徐々に変わっていくこともあるので、3年~5年ほどで価値観の見直しを行うと良いでしょう。
6.まとめ
価値観の見つけて明確にする方法、明確にした価値観から方針を決める方法について紹介しました。
今回の例では比較的小さなテーマを扱いましたが、価値観が明確になると、進路や職業など、人生を左右するより大きなテーマについても価値観に沿って決めることができます。また、現状の不満や不安などについても、価値観の充実度が低いことが原因かもしれません。
このように価値観を明確にすることで、充実した人生にするための指標とすることができますので、ぜひ試してみてください。
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