この記事では、コーチングについての基本的な事項について説明します。
1.「コーチ」の語源
コーチ(coach)という言葉には「馬車」という意味があります。
元々ハンガリーのコチュ(kocs)村でサスペンション付きの馬車が作られ、地名から「コチュ」と呼ぶようになり、ヨーロッパ中に広まって英語で「コーチ」と言うようになりました。
やがて「目的地に連れて行く」という意味になり、家庭教師やスポーツの指導者をコーチと呼ぶようになりました。
馬車が描かれたコチュ村の村章
2.コーチングとは
コーチングとは、「相手が答えを持っている」という前提で、簡単に言うと相手がどうしたら良いか、どうしたいかなどを話し合いによって一緒に答えを見つけていく方法です。
3.具体的な行動を促す
コーチングを行った結果として、相手が具体的な行動を起こすことが目的です。したがって、ただ話を聴くだけでなく、行動を促すための様々なアプローチを行います。
4.焦点の当て方
コーチングでは、問題や目標など状況や物事に焦点を当てるのではなく、その人自身、つまり相手の持つ想い(考え+気持ち)に焦点を当てて、話を聴いていきます。
5.コーチとクライアント
コーチングを行う人をコーチ、コーチングを受ける人をクライアントと言います。
6.関わり方
コーチングでの関わり方を下に示します。
- 同じ目線に立つ
- 協働関係を作る(お互い本気かつ本音で話す)
- 傾聴や質問などが中心
- 基本的に意見を言ったり、アドバイスや教えることはしない
- 分析や判断をしない
- クライアントが答えを選んで決める
7.コーチングの本質
自由の森では、人と人とが自然に行っているコミュニケーションの中から、人の想いを明らかにすることや、行動を促すことに適した方法に、使うことが便利なように傾聴などの名前を付けて、意識的に使えるようにしたものと考えています。
したがって、誰でも意識して練習すれば身に付けることができます。
8.話しやすい雰囲気づくり
話しやすい雰囲気をつくることで、コーチングをスムーズに行うことができます。
NG行為
下の行為は相手が話しにくくなます。気をつけましょう。
- 目を合わせない
- 別のことを考える
- 身構えている
- 緊張感を漂わせている
環境も重要
周囲の環境にも影響を受けるので、温度や明るさ、音や風、においなど、周りの状態にも気をつけてください。コーチングに限らず、人と話をする場合は、心地よく話せる環境を整えることが重要です。
9.安全な場をつくる
プロが行うコーチングでは守秘義務があり、相手の許可を得ずに内容について公開しません。この守秘義務によって、どんなことでも話すことができ、安全な場を作ることができます。
相談などは「誰にも話さないから、安心して何でも話して」と言ってあげると良いでしょう。
10.直感と直観
この勉強会のコーチングでは直感を使い、最終的に直観的にコーチングを行うことを目指します。
直感
ピンと来る、何となくそんな気がするなど、何かが直感的に閃くこと。
直感が働いているとき:イメージが浮かぶ、音が聞こえる、手触りや温度などの感覚がある
直観
知識、技術などを高めて経験を重ねることによって、意識しなくても直感的にどうしたら良いかわかる状態。
習熟のプロセス
- 注意を向けて意識して行う
- 特に意識しなくてもある程度できるようになる
- 意識せずに感覚的に行うことができる:直観
例:自転車に乗る
11.ティーチング・カウンセリング・コンサルティングとの違い
よくご質問を頂く、コーチングと、ティーチング・カウンセリング・コンサルティングの違いを表に整理しました。
種別 | ティーチング | コーチング | カウンセリング | コンサルティング |
---|---|---|---|---|
目的 | 知識・技術習得 | 気づき・行動 | 気づき・治療 | 問題解決 |
アプローチ | 指導 | 傾聴・質問 | 傾聴・質問 | 分析・提案 |
スタート | 0 | マイナス~プラス | マイナス | マイナス~プラス |
ゴール | プラス | プラス | 0~プラス | プラス |
専門知識 | 要 | 不要 | 要 | 要 |
12.参考書籍
コーチングを学ぶ上で、参考になる書籍を紹介します。
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