これまでの経験からコーチングを行っていて、少し話を聴いただけでクライアントが求めている答えが思い浮かんだと感じることがあります。
答えが思い浮かぶのはコーチングを行う側がクライアントとしての経験を積んでいて、答えにたどり着くことに慣れている場合や、コーチとして同じテーマを何度も扱ったことがある場合、テーマがコーチの専門分野だった場合などに起こるものと考えています。
また「クライアントが出す答えは千差万別なのでわからない」ということが、コーチングを行う上で望ましいと思いますが、具体的にできることなどが限られていて、どうしても同じような答えや選択に行き着いてしまう場合もあります。
では、答えが浮かんだ場合はどうしたら良いでしょうか。コーチングとしてはスッパリと忘れるのが好ましいですが、浮かんだ答えがベストだと感じるときもあると思います。
そんなときは答えが思い浮かんだとしてもすぐには言わず、必要なときに「提案」として出すことをオススメします。提案については「要望・提案・指示など依頼の仕方」「はい・いいえ・逆提案」を参考にしてください。
まずは、何事もないようにコーチングを続けて、クライアントの気持ちが高まるまでは取っておきます。コーチングを進めていくうちに気持ちが満たされ、エネルギーが高い状態になってから、やる気になっていることを見極めた上で提案します。
例で見てみましょう。
相手:人の話を聞くのが苦手なんですよね。
自分:話を聞くのが苦手なんですね。(コーチングがいいかも)
相手:はい。苦手なんです。
自分:もし、人の話が聞けるようになったらどうなりますか?
相手:もっと色んな人とうまくやれると思います。
自分:色んな人とうまくやれるんですね。
相手:そうですね。
自分:ちょっと話を聞ける状態をイメージしてみて頂けますか?
相手:わかりました。やってみます。
自分:話が聞けるあなたには、何が聞こえていますか?
相手:「話を聞いてくれてありがとう!」という声が聞こえます。
自分:「ありがとう!」という声が聞こえるんですね。どんな気持ちですか?
相手:すごく気持ちがいいです!
自分:気持ちがいいんですね!この気持ちで、何かできることはありますか?
相手:そうですね…。ちょっと思いつかないんですけど、何かやれそうな感じです。
自分:何かやれるんですね。提案があるんですけど、コーチングを勉強してみませんか?
相手:コーチングですか?
自分:コーチングが身につけば人の話を聞くことができるようになると思いますけど、どうでしょう?
相手:そうか!確かにそうですね。勉強してみます。
例のようにピンポイントで答えがヒットすることはそれほどありませんが、似たようなことは結構起こります。
また、クライアントから答えが出た場合、提案する必要はありませんので注意してください。
あくまでも答えを出すための選択肢のひとつとして示して、提案することが目的にならないように気をつけましょう。
相手が選ぶことをきちんとわかってれば、提案は大きな効果を発揮しますのでぜひやってみてください。
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